「分析化学の知識ってどうやってつけたらいいの?」
「分析化学の知識は就職に必要なの?」
「分析化学を基礎から勉強するのにおすすめの教科書は?」
そんな疑問をお持ちの皆さんへこの記事を書いています。
僕は大学で分析化学を専門とする研究室に配属されたので、分析装置を触りながら分析化学の知識を身につけることができました。
でも、読者の皆さんの多くは分析化学を体系的に勉強する機会はなかなかないと思いますし、何を勉強すべきかまとまったウェブサイトもなかなかないと思います。
そこで、この記事では製薬会社で仕事をするにあたり、分析化学について知っておくべきことをまとめて解説します。
この記事を読めば、製薬会社に就職する前にどんな勉強をすればいいのか明確になり、効率的に勉強が進むとともに、入社後も
として現場でバリバリ活躍できますよ。分析化学とは?
分析化学というのは、化合物の濃度を測定したり、化合物の構造推定をするための分析技術について研究する学問領域です。
使用する分析装置の仕組みについて理解し、出てくるデータの解析方法を正しく知っていることが重要になります。
分析化学の知識は教科書に書いているものだと非常に膨大な量になりますが、まずは製薬会社の仕事で必要になる最低限の知識から身につけていくことがおすすめです。
以下で、製薬会社での分析の利用目的と、よく使われる分析技術について解説していきます。
製薬会社の仕事でどう役立つ?
分析化学の製薬会社での用途は、主に以下に示す2点です。
化合物の濃度測定
製薬会社では、新薬の候補物質となる化合物の濃度を測定することがよくあります。
実験動物に化合物を投与して血液中の濃度推移を見るin vivoの実験だったり、細胞に化合物を添加してどれだけ元の化合物が代謝されずに残っているか確認するin vitroの実験だったり、機器分析というのは、普段の創薬研究の中心になる仕事といっても過言ではありません。
濃度測定というのは、「定量的な」分析になります。
なので、出てきた分析結果が定量性が担保されているかなどのチェックがとても大事で、このような結果の妥当性を確認するために分析化学の知識が必要になってくるわけです。
詳しくは別の記事で解説する予定です。
化合物の構造推定
上で書いた化合物の濃度測定に加えて、化合物の構造推定にも機器分析の技術が使われます。
新薬の候補物質として合成した化合物の構造が意図した通りになっているか、不純物は含まれていないか、含まれているとしたらどんな構造か、などを確かめるときに分析装置を使います。
他にも、実験動物に化合物を投与した時に生成する代謝物がどのような構造なのかを知ることも、化合物の身体への作用を考察するにあたり重要な仕事です。
このように、構造推定は「定性的な」分析ではありますが、得られた分析データからどこまで構造推定ができるのか、推定された構造がどれほど確からしいのかを正しく理解してデータ活用するために、分析化学の知識が必要になってきます。
詳しくは別の記事で解説する予定です。
分析化学の勉強法
製薬会社で最もよく使われる分析技術は液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)なので、まずはLCとMSについて勉強するのがおすすめです。
分析化学の基礎から勉強できる教科書として、以下で2冊、紹介します。
これならわかる液体クロマトグラフィー
「これならわかる液体クロマトグラフィー(化学同人)」は、
専門書です。全部で130ページ程度とそれほど分厚くもないので、まだLCを触ったことがない初心者の人にもおすすめです。
1つのセクションが2~5ページほどなので、毎日少しずつでも勉強を進めることができます。
詳しくは、以下の記事を読んでみてください。
これならわかるマススペクトロメトリー
「これならわかるマススペクトロメトリー(化学同人)」は、上で書いた「これならわかる液体クロマトグラフィー」のマススペクトロメトリー版です。
こちらも全部で170ページ程度とそれほど分厚くもなく、1セクションも2~7ページ程度なので、毎日少しずつでも読み進めることができます。
詳しくは、以下の記事を読んでみてください。
まとめ
この記事では、製薬会社でよく使われる分析技術について解説しました。
もう1度要点をおさらいしておきましょう。
- 製薬会社で行われる分析の多くは化合物濃度の測定や化合物構造の推定が目的になる。
- いろいろな分析技術があるが、特に製薬会社でよく使われるのは、LCとMS。
- 書籍「これならわかる液体クロマトグラフィー」「これならわかるマススペクトロメトリー」の知識が身につけば、製薬会社での実務もスムーズにこなせる。
この記事の内容が理解できれば、あとは製薬会社の現場に入って、実践経験を積みながら機器分析に関する知識を深めていきましょう。